対策&快復レポート
化学物質過敏症
CS分類2 殺虫剤/農薬原因
分類1のシロアリ駆除剤(クロルピリホス)とも重なるが、原因特定が困難なのが、農薬系である。
自宅や学校、職場周辺の畑や田んぼ、果樹農園で散布される農薬のみならず、公共的な公園や学校などでも桜や松、椿など定期的な毛虫類の殺虫剤散布があり、遺伝子組み換え作物用の除草剤なども多用され、成分流出を防ぐ粘着剤によって中期的に滞留するほか、 大気拡散や地下浸透、地下水(水源)汚染にもつながる。
ホームセンターやスーパーにおいても、家庭用の殺虫剤や農薬が容易に入手でき、近年では、子供用の防虫(殺虫)アクセサリーや 肌に直接塗布するスプレー防虫剤などもレジ横で販売され、経皮毒 (アトピー、アレルギー)症状や呼吸器疾患(小児喘息、蓄膿症) の増加が否めない。
注意すべき有害農薬は、有機リン系、カーバメート系、ピレスロイド系、ネオニコチノイド系などがある。それらは、市販の家庭用殺虫剤スプレーや蚊取り線香にも多用されており、無臭製品や花の香りなど香料入りの殺虫剤製品も発売されたことで、さらに、体調悪化原因を特定しづらくなった。
CS分類の場合は、発症前にシロアリ駆除の有無、自宅周辺の農地や果樹園の存在、また、本人もしくは家族が虫嫌いで多量の殺虫剤・防虫剤の散布癖等を尋ねるほか、農業従事や農作物・農薬取扱業、 家庭菜園やバラ花壇等の趣味、花屋やフラワーアレンジメント職等、 直接的・間接的な有害農薬曝露が体調悪化原因と推測され、主に呼吸器系、神経系に不調を訴える。
具体的には、1同様に、止まらない咳、鼻血、鼻水、目ヤニ、泡のような唾液、胸の痛み、吐き気、口内炎、副鼻腔炎(蓄膿症)、 アトピー(湿疹)、食物(に付着、残留する農薬)アレルギーなどの症状から始まって、特定の物質(例:有機リン農薬)を含む、大気、 空間、建材、食品、製品、衣類等に刺激を感じて、CS症状、反応を訴える。
発症原因例としては、自宅玄関に開封した家庭菜園用農薬(殺虫剤)を曝露し続けペットが死亡、中学生(当時)がCS発症した他、隣接した果樹園が散布する多量の殺虫剤で発症、花屋でアルバイトをして発症、研修で滞在していた博物館の展示品燻蒸処理で発症、 周辺の農薬散布を長期曝露して発症(自宅隣接の農地、農業従事者)、自宅裏の線路への除草剤大量散布で発症等。
主な症状としては、1同様に、農薬(殺虫・防虫)系のニオイ、 物質(防虫成分を含む天然の針葉樹等)に特に過敏(嗅覚)となり、 急性大量曝露による中毒症状も多く、呼吸器障害に苦しむ。 (啓発冊子「化学物質過敏症最新傾向と対策2016」より抜粋)